月末が近づくたびに、「また月案が終わらない」と焦っていませんか。
私は保育の現場で20年働き、認証保育所、株式会社運営園、公立、認可保育所、企業主導型という5つの形態を経験しました。月案を作る月末は、園内で2日ほど、1日あたり2〜3時間残業することがありました。持ち帰りができない書類だったため、勤務後に残って仕上げるしかありませんでした。
当時は生成AIを使っていません。ですから、「AIを使って月案残業を減らせた」という体験談ではありません。この記事では、当時の元保育士としての経験と、現在AIを教える立場になった私が考える安全なたたき台の作り方を分けてお伝えします。

月案のために月末2日、2〜3時間残業していた

私の場合、月案作成が重くなるのは月末でした。日中は保育があり、子どもから離れて書類だけに集中できる時間は限られます。月案は園外へ持ち出せないため、提出前になると勤務後に残って作業していました。
手書きだった月案がパソコン作成へ変わったとき、最初は「これで早くなる」と思いました。しかし、園内のパソコン台数が少なく、使いたい時間に別の職員が使っていることもあります。入力自体は手書きより楽でも、作業環境が追いついていなければ、待ち時間は減りません。

パソコンになれば自動的に時短できるわけではありませんでした。書く時間に加えて、「いつパソコンを使えるか」まで考える必要があったからです。
月案が終わらない原因は文章力だけではない


月案が進まないと、「自分は文章を書くのが苦手だから」と考えてしまいがちです。しかし、私が5形態の園で働いて感じたのは、個人の文章力だけでは説明できない負担があるということでした。
- 保育中に書類へ集中する時間を確保しにくい
- パソコンや作業場所が足りない
- 園ごとに書式や求められる文章の粒度が違う
- 修正基準が言葉で共有されていない
転職後は「何を直せばいいか」が分からなかった
特に困ったのは、転職後です。前の園で通っていた書き方が、新しい園では通らないことがあります。ところが、修正する側から具体的な基準や直し方を示されず、「やり直し」とだけ言われることもありました。
基準が分からないまま書き直すと、修正してもまた戻ってきます。これは書き手の努力だけでは解決しにくい問題です。AIを導入しても、園内の完成基準が共有されていなければ、同じやり直しが発生します。
当時はAI未使用。今なら「白紙をなくす」補助に使う


月案をAIへ丸ごと書かせ、そのまま提出することはおすすめしません。AIは、目の前の子どもたちの姿も、園の方針も、前月の振り返りも知りません。
一方で、白紙の状態から文章を考える負担を軽くする補助には使えます。たとえば、「ねらいの表現候補を3案出す」「箇条書きを月案らしい文章へ整える」「同じ意味の言い換えを出す」といった使い方です。
| AIに補助してもらう部分 | 保育士が判断する部分 |
|---|---|
| 見出しごとの文章候補 | 園の書式に合っているか |
| ねらいの言い換え | 実際の子どもの姿と合うか |
| 箇条書きの整理 | 前月の評価を反映できているか |
| 文章の長さ・語尾の調整 | 安全・健康面の内容が正しいか |
個人情報を入れずに月案のたたき台を作る手順


こども家庭庁の「生成AIの導入・活用に向けた実践ハンドブック」は、生成AIの導入を一律に義務づけるものではなく、関係機関が最新情報を確認したうえで判断する参考資料です。まず勤務先の利用ルールを確認してください。
- 園の利用ルールを確認:個人判断で業務情報を外部AIへ入力しない
- 書式の項目名だけを整理:「ねらい」「環境構成」「援助」など、空の見出しだけを使う
- 一般化した条件を渡す:対象年齢、月、一般的な活動候補までに留める
- 複数案を出させる:完成文を1つ求めず、比較できる候補を出す
- 実際の保育へ書き直す:子どもの姿、前月の評価、園の方針は保育士が反映する
個人情報保護委員会も、生成AIサービスへ個人情報を入力する場合の取扱いについて注意喚起しています。氏名を消すだけでなく、園名、クラス名、家庭状況、健康情報、珍しい出来事など、組み合わせると個人を推測できる情報も入力しないようにします。
月案の文章候補を出すコピペ用プロンプト


以下は完成品を作るプロンプトではなく、文章候補を出すための型です。園の規程で生成AIの業務利用が認められている場合だけ使ってください。
あなたは保育計画の文章整理を補助する編集者です。
以下の条件から、月案の「ねらい」の文章候補を3案出してください。
# 条件
- 対象年齢:[年齢]
- 対象月:[月]
- 一般的な活動候補:[活動]
- 文字数:[園の欄に収まる文字数]
# 制約
- 実在する子どもの姿を推測・創作しない
- 固有名詞、園名、クラス名を含めない
- 発達を断定しない
- 3案は表現の方向性を変える
- 最後に「保育士が実態に合わせて確認する項目」を箇条書きで示す
転職後は「何を直せばいいか」が分からなかった
特に困ったのは、転職後です。前の園で通っていた書き方が、新しい園では通らないことがあります。ところが、修正する側から具体的な基準や直し方を示されず、「やり直し」とだけ言われることもありました。
基準が分からないまま書き直すと、修正してもまた戻ってきます。これは書き手の努力だけでは解決しにくい問題です。AIを導入しても、園内の完成基準が共有されていなければ、同じやり直しが発生します。
当時はAI未使用。今なら「白紙をなくす」補助に使う
月案をAIへ丸ごと書かせ、そのまま提出することはおすすめしません。AIは、目の前の子どもたちの姿も、園の方針も、前月の振り返りも知りません。
一方で、白紙の状態から文章を考える負担を軽くする補助には使えます。たとえば、「ねらいの表現候補を3案出す」「箇条書きを月案らしい文章へ整える」「同じ意味の言い換えを出す」といった使い方です。
| AIに補助してもらう部分 | 保育士が判断する部分 |
|---|---|
| 見出しごとの文章候補 | 園の書式に合っているか |
| ねらいの言い換え | 実際の子どもの姿と合うか |
| 箇条書きの整理 | 前月の評価を反映できているか |
| 文章の長さ・語尾の調整 | 安全・健康面の内容が正しいか |
個人情報を入れずに月案のたたき台を作る手順
こども家庭庁の「生成AIの導入・活用に向けた実践ハンドブック」は、生成AIの導入を一律に義務づけるものではなく、関係機関が最新情報を確認したうえで判断する参考資料です。まず勤務先の利用ルールを確認してください。
- 園の利用ルールを確認:個人判断で業務情報を外部AIへ入力しない
- 書式の項目名だけを整理:「ねらい」「環境構成」「援助」など、空の見出しだけを使う
- 一般化した条件を渡す:対象年齢、月、一般的な活動候補までに留める
- 複数案を出させる:完成文を1つ求めず、比較できる候補を出す
- 実際の保育へ書き直す:子どもの姿、前月の評価、園の方針は保育士が反映する
個人情報保護委員会も、生成AIサービスへ個人情報を入力する場合の取扱いについて注意喚起しています。氏名を消すだけでなく、園名、クラス名、家庭状況、健康情報、珍しい出来事など、組み合わせると個人を推測できる情報も入力しないようにします。
月案の文章候補を出すコピペ用プロンプト
以下は完成品を作るプロンプトではなく、文章候補を出すための型です。園の規程で生成AIの業務利用が認められている場合だけ使ってください。
あなたは保育計画の文章整理を補助する編集者です。
以下の条件から、月案の「ねらい」の文章候補を3案出してください。
# 条件
- 対象年齢:[年齢]
- 対象月:[月]
- 一般的な活動候補:[活動]
- 文字数:[園の欄に収まる文字数]
# 制約
- 実在する子どもの姿を推測・創作しない
- 固有名詞、園名、クラス名を含めない
- 発達を断定しない
- 3案は表現の方向性を変える
- 最後に「保育士が実態に合わせて確認する項目」を箇条書きで示す
実際に一般化条件で試した結果
2026年8月10日、現在のAI講師として、個人情報を含まない「3歳児・9月・戸外で秋の自然物に触れる」という条件で試しました。初回は「友だちと見せ合い、言葉で伝える」と、観察していない姿まで補う案が含まれました。
そこで「実態を推測せず、[観察済みの姿]を入れる空欄を残す」と差し戻すと、「[観察済みの姿]を踏まえ、戸外で見つけたことを[園内で確認した表現]で表す」という候補へ修正されました。AIの出力は毎回変わり、この修正で結果を保証できるわけではありません。提出前に必ず園内で確認します。



過去の月案ファイルをそのままアップロードするのは避けます。個人情報が含まれていないか、自分では気づきにくいからです。
AIに任せない部分は、子どもの実態と最終判断
月案で最も大切なのは、実際の子どもの姿をもとに翌月の保育を考えることです。AIが作った自然な文章が、そのクラスに合っているとは限りません。
- 実在する子どもの発達・健康・家庭状況
- 前月の評価と反省
- 園の保育方針と年間計画との整合
- 安全面・アレルギー・医療に関する判断
- 提出してよい内容かの最終確認
AIは言葉を整える補助役です。観察、評価、計画、責任まで代わりに引き受けるものではありません。
残業を減らすには、園側の修正基準の共有も必要
月案残業を個人の工夫だけで解決しようとすると、限界があります。パソコンの台数、ノンコンタクトタイム、締切、書式、チェック方法など、園側の環境も関係するからです。
特に「やり直し」だけでは、書き手は次に何を直せばよいか分かりません。園内で次のような基準が共有されていると、修正の往復を減らしやすくなります。
- 良い記入例と修正前後の例
- 欄ごとに求める具体性
- 年間計画とのつなげ方
- チェック担当者が見る項目
- パソコンを使える時間の割り当て
AIを導入する前に、修正基準を言葉にする。その基準があって初めて、AIへ「この条件で候補を出して」と伝えられます。
まとめ|月案AIは残業を消す魔法ではなく、白紙を減らす補助
私が月案を書いていた当時、月末は2日ほど、1日2〜3時間残業していました。パソコンへ移行しても台数が足りず、転職後は園ごとの修正基準が分からないという別の負担もありました。
今ならAIは、月案の完成品ではなく、白紙をなくすための文章候補づくりに使います。ただし、園の利用ルールを確認し、個人情報を入力せず、子どもの実態と最終判断は保育士が担うことが前提です。
おたより作成でも同じ線引きが必要です。文章のたたき台と、人が確認する部分を具体的に知りたい方は、関連記事「保育士のおたよりをAIで作る方法」も参考にしてください。
筆者は元保育士・3児の母のfukuです。認証保育所、株式会社運営園、公立、認可保育所、企業主導型で20年間働いた経験をもとに、現在はAI講師として、保育の仕事で生成AIを安全に使う方法を発信しています。詳しい経歴はプロフィールにまとめています。
