「子どもにAIを使わせてもいいの?」「使わせたら、考える力がなくなるんじゃ…」
最近、こんな声をよく耳にします。わかります。私も同じことを考えていた一人でした。
私はもともと保育士として働いていました。今は3人の子ども(中学生の息子・小5の娘・年長の娘)を育てながら、AI活用を日常に取り入れています。我が家の子どもたちとAIの関わり方を間近で見てきた中で、「育つ力」と「失う力」の両方をはっきり感じる経験がありました。
この記事では、保育士としての視点と、3人の子育ての実体験をもとに、子どもとAIの関わりについて正直に書いていきます。
保育士として気づいたこと:子どもそのものは変わっていない

保育士として子どもたちと関わってきた経験から、今も変わらず感じていることがあります。それは、子ども自体は変わっていない、ということです。
スマホが普及した時代も、タブレット学習が当たり前になった時代も、子どもの本質——好奇心・試したがる気持ち・承認されたい気持ち・失敗したあとにやり直せる力——は変わっていません。
変わるのは、子どもを取り巻く環境と、大人の関わり方です。
新しいツールが登場するたびに「子どもへの影響」が心配される。それは昔もそうでした。テレビ、ゲーム、スマホ、YouTube……どれも「子どもが変わってしまう」と言われてきた。でも問題の根っこは、ツールそのものではなく、「どんな環境で・大人がどう関わっているか」でした。AIも同じだと私は思っています。

「AIを使ったら子どもがダメになる」ではなく、「大人がどう関わるか」で変わる。保育士時代も今も、それは変わらない視点です。
AIを使うことで「育つ力」:うちの小5娘の話


我が家の小5の娘は、気づいたら私の真似をしてGeminiを使いこなしていました。最初は「ふくの画面を覗いてた」程度だったのに、いつの間にか自分でプロンプトを入力し始めていた。
驚いたのは、娘が「〜〜の仕様で作って」「もう少しやさしく書いて」という私の言い方をそのままコピーして使っていたことです。使い方を教えたわけじゃない。ただ隣で見ていて、自然に吸収していた。
試行錯誤する力
娘のAI活用で特に印象的だったのは、一発出しで終わらないことです。
最初に出てきた回答を読んで、「ちょっと違う」「もっとこうしたい」と何度も入力し直す。うまくいかなかった時、落ち込むというよりも「じゃあどう聞けばいい?」と次の手を考えている。
これは偶然ではないと思っています。娘は私が試行錯誤する様子を見ていたし、私自身「AIは一発で完成しない・何度もやり取りするもの」という前提で使っていました。その空気が自然に伝わっていたのかもしれません。
AIは試行錯誤のコストが低い道具です。やり直しが簡単で、失敗しても怒られない。この特性が、子どもの「もう一回やってみよう」を引き出しやすいのだと感じています。
問いを持つ力
娘が私に聞いてきた言葉で、今も印象に残っているものがあります。
「これ、本当に合ってる?」
AIが出した答えに対して、自分で疑問を持てるようになっていた。これは小さいようで、とても大事な変化でした。
私は娘に「AIは間違えることがある。だから『全部信じない』を最初から知っておいてね」と伝えていました。その言葉が、娘の中で「問いを持つ」習慣につながっていったのだと思っています。
AIを使うことで育つ力をまとめると、次のようになります。
- 一発で諦めない試行錯誤の姿勢
- 「これは本当か?」と疑問を持つ習慣
- 自分の言葉で指示を組み立てる表現力
ただし、これは条件付きです。次に書く「失う力」の話と切り離せません。
AIを使うことで「失う力」:fuku自身の失敗から


子どもの話をする前に、私自身の失敗を正直に書かせてください。
AI活用を始めて1〜2年ほど経った頃、私は要約AIへの依存が習慣になっていました。長い記事を読む前に要約させる。本を読む前にあらすじを聞く。何か調べたいことがあれば、まず聞いてしまう。
そのうち、気づいたことがあります。長い文章が読めなくなっていたのです。
2,000字を超える記事を読もうとすると、途中で集中が切れる。以前はできていたことが、できなくなっていた。「要約があるから大丈夫」という感覚が積み重なって、自分で読んで考えるという回路が弱くなっていたんだと思います。
丸投げ・要約・すぐ聞く、のループを繰り返した結果として、考える力の低下を体感しました。これは体感ベースの話で、すべての人に当てはまるとは言えません。ただ、自分の中でははっきりした変化がありました。
子どもへの影響も、同じ方向に働く可能性があると考えています。特に、まだ読む力・考える力の基礎が固まっていない年齢で、丸投げが当たり前になってしまった場合は要注意です。
AIを使うことで失いやすい力を整理すると、次のようになります。
- 自分で読み、考え、言葉にする力(丸投げ習慣から)
- AIが使えない場面での対応力(依存・機会損失から)
- 間違いに気づく力(鵜呑み習慣から)



自分が一番ひどかった時期、「あ、これ子どもにやらせたらいけないパターンだ」と気づきました。長男が「AIは悪いもの」と認識してしまったのも、ある意味では逆の機会損失でした。使えない・使わないも、失う力のひとつだと思っています。
3人の子どもを見て出した結論:「使い方」ではなく「関わり方」


息子は学校でAIを禁止されている環境にいます。クラスメートが丸投げして注意されたことで、「AIは悪いもの」という認識が定着してしまった。今は自力で調べているけれど、AIを補助ツールとして活用できる機会を逃し続けています。
娘(小5)は隣で見ていた私の使い方を自分なりに応用しています。年長の下の子は、娘と私が一緒に作った知育アプリで遊んでいる。「これAIが作ったんだよ」と言っても、本人には「楽しいゲーム」としか映っていない。
3人3様の関わり方を見ていて、私が出した結論は「使い方の問題よりも、関わり方の問題だ」ということでした。
大人が隣にいる
娘がAIとうまく関われているのは、私が隣にいて一緒に使ってきたからだと思っています。操作を教えたわけではなく、「こういうふうに使うものだ」という空気をそばで見せてきた。
最初から一人で自由に使わせるのではなく、大人が隣で使っている姿を見せながら、自然にうつしていく。これが一番効いた方法でした。
「全部信じない」を最初に伝える
AIは間違えます。自信満々に、もっともらしく、間違えます。これを子どもが最初から知っているかどうかで、使い方がまったく変わります。
「AIが言ったことが全部正しいわけじゃない。自分で確かめる習慣をつけてね」と、最初に一言伝えておく。それだけで、娘は「これ本当に合ってる?」と聞いてくるようになりました。
この一言を伝えるか伝えないかが、「問いを持つ子」になるかどうかの分岐点だと私は感じています。



でも、子どもに「全部信じるな」って教えるのって難しくないですか?大人も信じちゃいますよね。



難しいですよ(笑)。だから「AIは嘘をつくこともある賢い機械」みたいな言い方で伝えてみました。最初から「疑え」ではなく「確かめるのが普通だよ」という感覚で。
失敗させてみる
娘がAIに間違った答えを出されて「なんで違うの!」となったとき、私はすぐに正解を教えませんでした。「なんで違うと思う?」と一緒に考えた。
AIの失敗は、子どもが「自分で考える」きっかけになります。完璧に動く道具より、「なぜうまくいかなかった?」を一緒に考えられる道具のほうが、実は子どもの力を育てやすいのかもしれません。
私自身も、AIに失敗させられたことで学んだことのほうが多い気がしています。子どもの失敗体験を奪わないこと。これも大事な関わり方のひとつだと思っています。
まとめ:AIは「道具」——どう使わせるかは大人次第


AIで育つ力も、失う力も、最終的には「どんな環境で・大人がどう関わるか」で変わります。
道具そのものに良い悪いはない。包丁と同じで、使い方と関わり方が全てです。
私が3人の子育てと保育士経験から出した、シンプルな3つのポイントをまとめます。
- 最初は大人が隣で使っている姿を見せる
- 「全部信じない」を最初の一言で伝える
- 失敗したとき、すぐ正解を教えずに一緒に考える
これだけで、AIは「考える力を奪うもの」ではなく「考えるきっかけをくれる道具」に変わります。少なくとも、我が家ではそうなっていると感じています。
子どもとAIの関わり方について、もう少し具体的な話はInstagramでも発信しています。よければ覗いてみてください。
